PACIFIC WAY

太平洋諸島情報(2003年1月〜4月)      




地域
 
アジア太平洋地域の電子情報技術会議、東京で開催
 インターネットや情報コミニケーションの技術に関する会議が1月中旬、東京の国連大学で開催された。この会議にはアジア太平洋のおよそ50の国と地域から政府機関、教育機関、国際組織、情報関連企業、メディアの代表が出席した。太平洋諸島からもアメリカン・サモアのツラフォノ(Tulafono)領域知事やミクロネシア連邦教育省のスティヴェンソン(Stevenson)代表ほか、フィジー、サモア、パプアニューギニア、パラオ、クック諸島、ソロモン諸島、北マリアナ諸島など多くの政府および民間の代表が出席した。太平洋諸島一般との関係で同会合では、政府機関等が現在の情報通信産業を独占している状況が課題として取り上げられ、さらなる競争の奨励が確認された。事実、フィジー、トンガ、パプアニューギニア、ヴァヌアツ、ミクロネシア連邦、パラオのような参加国は、国内に情報通信を提供するものが一機関ないしは一企業しか存在していない。この対処法としては、複数の提供者が設立されることによって競争が起こり、最終的には安いサービスの提供と郊外へのアクセスが拡大され、利用者が増加し、究極的には情報通信産業の発展につながることが強調された。
(PIR, Jan 13 & 15, 2003)
 
西太平洋に大型の台風襲来、さらなる発生を予測
 2002年末にソロモン諸島を襲撃した過去30年間で最大の台風をはじめ、その他グアムやフィジーに甚大な被害を与えているように、このほど大型の台風が西太平洋で頻繁に発生している。この原因は2002年初頭から観測されているエルニーニョ現象に起因しているとされる。CNNの気象情報によれば、過去台風の発生頻度が高かったのは、1982〜1983年と1997〜1998年であり、平均発生頻度11回に比べ、それぞれ17回と18回を記録した。事実、1982〜1983年と1997〜1998年の両方の時期に強いエルニーニョ現象が観測されている。このため同筋によれば、現在もヴァヌアツやコーラル・シー周辺が台風発生の危険地域であるとされる。また、これから2003年末にかけて発生地域は東方にも拡大し、ウォリス・フツナ、サモア、クック諸島、トケラウ、ニウエ、タヒチでも台風の襲撃が予測されており、警戒を促している。
(CNN.com/WEATHER, Jan 16, 2003)
 
◆パプア・ニューギニア
 
東ハイランド州で麻疹が流行
 昨年末より、東ハイランド州で麻疹が流行している。ポスト新報紙の報道によれば、最も被害の多いヘンゴノフィ(Hengonofi)地区ではこれまで合計20人の幼児が死亡しており、10人が瀕死の状態にあるとされる。同地区選出の国会議員で医師でもあるバナレ・ブン(Banare Bun)氏によれば、被害を受けている者たちのほとんどが5歳以下の幼児であり、ここ数年来同地では小児科の病院が極端に不足していることから、予防接種が受けられないことに原因があるとされている。氏の見解によれば、流行の州全体への拡大の可能性が高く、対策がなされなければこの先10,000人から15,000人の子供たちが死亡するだろうとされる。さらに悪いことに同州には薬やワクチンが不足しており、人的資源や輸送手段にも乏しいことをブン氏は付け加えている。
(PIR, Dec 24, 2002)
 
政府、ブーゲンヴィルへ1000万キナ支給を確約
 ブーゲンヴィル自治化の一環として、パプアニューギニア政府は2002年末、ブーゲンヴィルへ1000万キナを支給することを決定した。現在ブーゲンヴィルでは武装解除が進展しており、政府は近く軍隊を撤退させることを決定している。この援助金はブーゲンヴィルの自治政府が同地域の発展を促進させることを目的としており、この一部としてブーゲンヴィル憲法起草委員会が発足する予定である。援助金は2003年と2004年にわけてそれぞれ500万キナづつ支給されることになっている。
(PIR, Dec 30, 2002)
 
2002年度輸出状況
 パプアニューギニア銀行の統計によれば、2002年度9月までの同国の輸出状況は農業部門で輸出が増大し、鉱産資源部門では減少していることが明らかになった。すなわち、農業部門の輸出高は前年の2億2450万キナから2億5340万キナに上昇しており、2年連続の増加傾向にある。とくに目覚しい増加がみられたのはコーヒーであり、前年の6230万キナから9090万キナを記録した。コーヒーに続き、ココアの輸出も好調である。他方、鉱産資源部門では前年の5億6310万キナから4億8150万キナへ減少し、前年比で14.5パーセント減となった。とりわけ金の輸出高が前年比で33.1パーセントも激減しており、これはエルニーニョ現象によってオク・テディ鉱山からの輸送が不能になったことや、電力不足によってポルゲラ(Porgera)金山が一時的に閉鎖されたことなどに起因するとされている。
(PIR, Jan 15, 2003)

西パプア
 
パプア人権活動家の家族、襲撃される
 2002年末、パプアの人権活動家のジョン・ボナィ(John Bonay)氏の家族がパプアニューギニアの国境付近で何者かに襲撃され重傷を負った。ボナィ氏の家族は、クリスマス休暇にパプアニューギニアの国境を越えたところにあるヴァニモ(Vanimo)のそばにいる親族を訪ねるために車で移動していた。彼らが国境のゲートに着いた時、そのゲートは閉ざされていた。突然、彼らは近くのブッシュから銃撃されたとされる。この車に乗っていたボナィ婦人は両足を撃たれ、息子のメルリン(Merlin)君12歳は右足に、親族のメラウウティジェ(Merautje)氏は左足に銃撃を受けた。3名は軍に保護され、ジャヤプラにある軍病院で緊急手術を受けた。
 事件発生時、ボナィ氏は家族と一緒でなかった。ボナィ氏はパプア州内で人権活動を展開している人権擁護研究協会(ELSHAM)の委員長を務めており、同年8月ティミカで起きた襲撃事件へのインドネシア軍の関与を強く非難していた人物であった。事件発生以前、車のタイヤの空気が抜かれていたり、自宅の電話線が遮断されていたこともあった。これらの出来事はボナィ氏の軍への非難に原因があると予測されており、今回の襲撃事件も8月のティミカでの襲撃事件に関連の疑いがあると報道されている。
(PIR, Dec 30, 2003)
 
◆ソロモン諸島

観測史上最大規模の台風が離島を直撃
 南太平洋で観測史上最大規模の台風がソロモン諸島の離島ティコピア(Tikopia)とアヌタ(Anuta)を直撃した。この台風は2002年12月24日、フィジーと赤道の間の水温が以上に高かった海域で発生し、同月26日には急速に勢力を拡大しながらソロモン諸島方面へ移動した。そして、12月29日ティコピアを直撃した時には中心付近の風速が時速300キロを超える強大なものとなった。ソロモン諸島政府は台風の被害を調査すべくパトロールボートの派遣を計画したが即座に実施できなかった。各メディアの報道によれば、この理由は周辺地域の悪天候ばかりでなく、パトロールボートの燃料を調達する資金が捻出できなかったことや船員が賃金の前払いを要求したことにあった。結局首都ホニアラのオーストラリア高等弁務官事務所からの援助で1月3日にようやく計画が実行され、直撃から1週間が経過した1月5日早朝ようやくパトロールボートがティコピアに到着したのであった。
 パトロール艇に乗船していた調査団の報告によれば、ヤシの木でつくられたほとんどすべての家屋が倒壊し作物にも深刻な被害が生じたにもかかわらず、幸いにも同島に生活するおよそ1500人の住人に犠牲者はいなかった。7日にはパトロールボートがアヌタの被害状況を調査したが、倒壊した家屋も少なく、犠牲者も存在しなかった。ニュージーランドのワイカト大学の人類学者マクドナルド博士によれば、この地域は台風の通り道となっており、住民は伝統的にその被害を免れる手段を受け継いできたという。すなわち、彼らは台風に備えて地下に食料を保存し、直撃した際には山の洞窟に避難する。また、島で取れる食料や避難所のキャパシティを超えないように人口増加を抑制するために、長男のみが結婚を許され子供をもうけることができ他の兄弟は性的行為そのものは許されても子供をつくることは禁止されているのが伝統的慣習であるとされる。
 今回の台風の直撃で近隣諸国、国連、NGOから様々な援助がなされた。とくに資金援助と災害援助物資の搬送に協力したオーストラリアとニュージーランド、災害対策本部に援助金を拠出した台湾、災害援助物資を送った日本に対して1月10日、ケマケザ首相からその即座の対応に謝意が表明された。
(PIR, Dec 31 to Jan 13, 2003)
 
◆ニューカレドニア
 
RPCRの指導者ラフルール氏、引退を表明
 反独立派の政党RPCRの指導者でニューカレドニア政界の重鎮ジャク・ラフルール氏(70歳)が2002年12月26日に発表された声明の中で、彼の25年にわたる政治活動に終止符を打つことを表明した。ラフルール氏は1977年の発足当初からRPCRの党首として同党の舵をとり、反独立派の代表としてフランス本土代表および独立派の代表とニューカレドニアの将来を議論しつづけてきた。1988年のマティニョン協定および1998年のヌメア協定を反独立派の代表として署名したのは彼である。氏は現在、対外的にはニューカレドニアを代表してのフランス本土の国会議員であり、領域内ではニューカレドニアの政治・経済の中心地である南部州(Southern Province)の知事を務める。しかしながら、このたびの声明の中で引退の具体的な時期や後継者等については全く触れていない。2000年9月にもラフルール氏は同様の声明を出したことがあったが、その時は多くのRPCR支持者たちの強い留任の要請を受けた。多くの内外の有識たちは、引退があるとすれば彼の後継者はフロギール首長になるであろうと予測している。
(PIR, Dec 30, 2003)
 
カナクの首長、リーフを世界遺産に登録申請
 ニューカレドニアの先住民カナク部族の伝統的首長たちはこのほど、同島を取り巻く広大なリーフを国連の世界遺産に登録するために申請運動を展開している。その美しいリーフは長さ1600メートルに達し、オーストラリアのグレートバリアリーフに次いで世界第二位の規模である。首長たちは先祖伝来の土地と海を未来の世代のために保護する必要性を痛感しており、ユネスコの世界遺産への登録申請を要望している。しかしながら、ユネスコへの申請はニューカレドニアではなく本土フランス政府によってなされることになっている。
(PIR, Jan 27, 2003)
 
◆フィジー諸島

日本、フィジーの薬学分野へ1765万FJドルを援助
 フィジーの薬学分野発展に寄与すべく日本から援助がなされることが決定されたことを受けて、1月23日、首都スヴァでフィジーと日本のセレモニーが開催された。この会合に日本側からは飯野大使が主賓として出席し、フィジー側からも数名の閣僚が出席した。今回決定された援助によって、貯蔵・分配局、管理室、調剤室、図書館および会議室で構成される2階建ての薬学サービスセンターが建設される。会合で飯野大使は、日本は知識のスムーズな伝達と適切な管理・運営の手順について協力することを確約し、これは南太平洋の発展に対する日本の強い責務の表示であることを表明した。同センターは本年10月より開館し、日本の技術援助が2004年3月まで行なわれる予定である。
(PIR, Jan 21, 2003)
 
台風の被害、数千人に影響
 昨年末より太平洋諸島に大きな被害をもたらしている台風の発生は、フィジーにも深刻な被害を与えている。ニュージーランド国際放送の報道によれば、1月中旬にフィジーを直撃した台風による被害総額は推定3500万USドルに上り、そのうち公共分野での損失が2500万ドルとされている。同筋によれば、これまで少なくとも14人が死亡し、最も被害が深刻であったヴァヌアレヴ島では数十人が行方不明になっている。また、今回の台風によって住居・食料にも深刻の被害がおよび、数千人の生活に影響が出ている。現地フィジータイム紙によれば、およそ1000世帯が食糧配給の遅れによって飢えにさらされている。このため、食料や日用品を求めてゴミ捨て場に人々が殺到し、あさっている模様をオーストラリア放送が報道した。さらに、かねてから問題となっていたスヴァでの水供給施設の欠陥による水不足が、今回の台風によって更に深刻な事態を生じさせている。
(PIR, Jan 24, 2003)
 
観光業が回復の兆し
 2000年のクーデターおよび2001年の同時多発テロ以降低迷していたフィジーの観光業に回復の兆しがみえている。現地ブラ・ニュースの報道によれば、2002年11月の同国への訪問者数は32,288人を記録し、一昨年11月に比べ12.1パーセント増加している。国別にみれば、第一位のオーストラリアが16パーセント上昇し、第二位のイギリスから観光客数は実に39パーセントの幅で急増した。同様に日本およびアメリカからの訪問者もそれぞれ15.9パーセントと2パーセント増加した。フィジー観光局のガヴォカ(Gavoka)局長は、2002年度の訪問者数は40万人を超えること予想している。しかしながら、局長はアメリカン・サモアによるフィジー人の入国制限(アメリカン・サモアの記事参照)がフィジーのイメージを損なっており、またイラク戦争の影響によって2003年度の観光業の再低迷を懸念している。
(PIR, Jan 1 & 24, 2003)
 
2000年のクーデター、新たに56名の判決が確定
 2000年5月に発生したクーデターにおいて、ランバサ兵舎所属の兵士で反逆罪の罪に問われていた56名の判決がこのほど確定した。その中で主犯格であったヴォサヤコ(Vosayaco)中尉およびヴァレニヤサナ(Valeniyasana)中尉は最も重い終身刑の判決を受けた。その他残り54名の下級の兵士たちもそれぞれ3年から10年の禁固刑を言渡されている。
(PIR, Jan 30, 2003)
 
◆トンガ
 
国王、健康面で国民を導く
 BBCの報道によれば、トンガ国王トゥポウ4世がこのほどダイエットを敢行して成功したことが、国民の健康志向を高揚させている。国王は近年自己の肥満が階段の昇降や適切な睡眠の妨げになっているとの自覚から、ダイエットに取組み減量に成功していた。そのため、今では階段もスムーズに昇り、睡眠も快適であると述べている。この結果、西洋式の食生活様式の流入によって肥満体質気味の傾向にあったトンガ国民は、国王の行動を見習って健康に気遣い始めている。現地の栄養学者によれば、最近肉よりもシーフードを摂る人々が増えており、エアロビクスをはじめ適度な運動を実行する人々も多いという。
(PIR, Dec 24, 2002)
 
米国、トンガをテロリストの温床として言及
 2001年9月11日の同時多発テロ以降、テロリストとの対決姿勢を鮮明にしているアメリカは、最近太平洋諸島がテロリストによって利用されており、とりわけトンガをテロリストの温床として懸念を表明している。すなわち、中央情報局によれば、トンガ国旗を掲げる15隻の船舶がオサマ・ビン・ラディン氏をリーダーとするアルカイダの組織によって保有されているという。事実、昨年9月にはアルカイダ所属とみられるテロリストの一団がイタリアでトンガ船籍の船上で逮捕されている。トンガ政府の当局者によれば、昨年総計で185隻のトンガ船籍の船舶が存在し、そのほとんどが中東地域を航行していたという。事態を深刻に捉えたトンガ政府は、昨年より船舶登録事業から手を引き始めているものの、契約期限がこの先何年も残っているものも多く、契約解消と返済のため即座に解決するのは難しい状況にあるといえる。
(PIR, Jan 3 & 10, 2003)

ヴァヌアツ

ひょうを伴なう異常気象を観測
 ニュージーランド国際放送の報道によれば、2002年12月末、ひょうを伴なう嵐がヴァヌアツに襲来した。現地ヴァヌアツ緊急事態災害局の報告によれば、ゴルフボールほどのひょうを含む嵐が吹き荒れ、特に深刻な被害を受けた南タンナではおよそ1000の地滑りが発生し、道路の80パーセントと畑の50パーセントが破壊された。ヴァヌアツ気象庁によれば、全島でひょうを見たのは初めてのことであり、この異常気象発生の原因は定かでないとされている。
(PIR, Jan 1, 2003)
 
カヴァ法に対する抵抗運動が激化
 2002年末に議会で可決したカヴァの生産者規制に関する法案に対し、一部のヴァヌアツ市民の間で激しい抵抗運動が起こっている。この法案はカヴァの生産者を純血のヴァヌアツ人(Ni-Vanuatu)農家のみに限ることを規定しており、施行されれば混血のヴァヌアツ人や帰化した者たちはカヴァの生産を禁止されることになる。ペンテコスト(Pentecost)島の大首長で前国会議員のボウレコネ(Boulekone)氏はこの法案に強い反対を表明しており、「私の子供たちは混血だが、ヴァヌアツの先住民として慣習的保有地の保有者となることができる。したがって、混血であってもその土地でカヴァを生産し、収益をあげることができる」と述べた。氏は、このカヴァ法案の規定はすべてのヴァヌアツ人の平等権を定めた憲法規定に反するとして提訴することを検討している。
(PIR, Jan 7 & 15, 2003)

◆サモア

フィマオノ・マタイ称号継承訴訟判決
 サモアではこのほど、フィマオノ族の首長を表わすマタイ称号の継承をめぐる訴訟の判決が伝統的土地称号裁判所によって下された。この訴訟は前国会議員であったフィマオノ・ミミオ氏の死後、ミミオ氏の地位を継承してフィマオノ・ファアソポ氏が補欠選挙の結果、自動的に国会議員になったことに端を発していた。しかし、別のフィマオノ氏族のラファエレ氏とリモノ氏がミミオ氏の地位継承を主張して訴訟を起こしたのであった。この訴訟に対して土地称号裁判所は、1996年2月になされたファアソポ氏の継承式と一般告知は法の手続規定を満たしたものであるという判断を下した。法規定上、称号の継承に関する異議申立ては告知がなされた時から3ヶ月以内になされなければならない。ラファエレ氏とリモノ氏の訴訟は3ヶ月をすでに経過した1997年の1月になされたものであり、両氏はファアソポ氏の継承式と一般告知の事実を知りえなかったことを主張したが、上記の理由により棄却された。
(PIR, Jan 23, 2003)
 
サモア最長寿ファウオロさん死去
 サモア市民で最長寿者であったティセ・ファウオロさんが、2003年初め114歳で亡くなった。ファウオロさんは1888年7月1日にサヴァイィ島のサフォツラファイ村で生まれた。彼女には実子がいないが、現地で有名なレヴ・オカ・ファウオロ牧師を含む6人を養子として育てた。彼女は生後114年間の大半をサフォツラファイ村で過ごした。
(PIR, Jan 23, 2003)
 
◆アメリカンサモア
 
フィジー人の入国を制限
 2002年末、アメリカン・サモアはフィジーをテロリズム特別監視国家のリストに加える事を決定し、特別の許可がない限りフィジー人の入国を拒否する決定をなした。この決定に先立ち、アメリカン・サモアはテロリストの入国を未然に防止すべく、2002年8月より中東系の人々の入国を制限する決定を下していた。この結果、これまでに特別監視国家としてリストアップされている国は、アフガニスタン、アルジェリア、バーレーン、キューバ、イラン、イラク、北朝鮮、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パキスタン、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、チュニジア、UAE、イエメン、インドネシアとフィリピンであった。このほどフィジーが追加されたのは、同国にはイスラム教徒を含むインド系住民が数多く存在し、そのコミニティのいくつかはパキスタンやサウジなどの中東地域の諸国と宗教的に密接なかかわりを持つことが最大の理由であるとされている。
(PIR, Dec 23, 2002)
 
◆クック諸島
 
2002年度訪問客数の減少
 2001年9月11日にアメリカ本土で起きた同時多発テロの影響で観光客数が減少しているクック諸島において、2002年度の観光客数が前年の数値を下回るであろうとみられている。2001年度の訪問者数は74,575人であった。しかしながら、政府の報告によれば2002年年度の11月までの訪問者数は66,834人であり、これに12月の訪問者数推定6,000人を加えておよそ72,000人であるされている。
(PIR, Jan 1, 2003)
 
古代の工芸品、ラカハンガで出土
 クック諸島の北方諸島の一つラカハンガでこのほど、古代のクック諸島民が使用したとみられる数々の工芸品が発掘された。今回の発掘では、木炭石を含む3箇所の土製の竈が発見され、付近からは真珠貝でつくられた釣り針、二枚貝で作られたノミ、サンゴからできているハンマーが出土している。
 この調査団を率いたフランスの考古学者アン・ピアザ(Anne Piazza)氏によれば、フエニックス諸島でも同様の工芸品が出土していることから、推定800〜1000年前のものであるとコメントしている。今回発見されたこの工芸品は放射性炭素年代測定を行なうため一度フランスに持ち込まれ、調査後クック諸島国立博物館に寄贈されることになっている。
(PIR, Jan 17, 2003)
 
◆仏領ポリネシア
 
フレンチ・ポリネシア裁判所、巡航客船の処分延期を判決
 2002年12月にフレンチ・ポリネシア海域で炎上した巡航客船ウィンドソング号の処分をめぐる裁判で現地領域裁判所は今年1月、1ヶ月間の処分延期の判決を下した。ウィンドソング号の残骸は、タヒチ島の沖合いにある水深3000メートルの海溝に沈められることが検討されて、領域政府に承認されていた。しかしながら、同裁判所はこの処分方法が領域政府に認められた権限の範囲外のものであり、どのように処分するかの決定権はフランスが有するとの判断を下したのである。判決に先立ち、この処分計画は緑の党によって痛烈に非難されていた。
(PIR, Jan 21, 2003)
 
◆ウォリス・フツナ
 
フランスとの間で持続可能な開発協定締結
 2002年12月、現地を訪問したフランス本土のジラルダン(Girardin)海外領土大臣(Minister for Overseas Territories)と現地行政府の間で「持続可能な開発協定」が締結された。この開発協定によってフランスよりウォリス・フツナへむこう5年間で2500万ユーロの経済支援がなされることが決定された。この資金はウォリス・フツナの脱辺境性を目的としており、具体的にはエアーリンクや通信手段の開発を含めたインフラの整備、若い世代の職業訓練等に利用される予定である。
(PIR, Dec 23, 2002)

ナウル

難民の受入れを12ヶ月延長
 ナウルは2002年12月、オーストラリアのハワード政権によるいわゆる「パシフィック・ソリューション」の下で同島に受け入れている難民および庇護請求者の滞在許可を12ヶ月延長することに同意した。この結果、オーストラリアはその見返りとしてすでにナウル2002年度予算の中に配分されている700万AUドル他に、さらに1450万AUドルの経済援助を与えることを確約した。この援助金のうちおよそ1100万ドルが電気・水道の供給を中心としたインフラの整備に当てられ、残りの160万ドルと145万ドルがそれぞれ社会福祉と教育事業に費やされることになっている。しかしながら、これまで難民キャンプで2回の暴動が起こっておりナウル人とオーストラリア人の職員が負傷していることから、さらなる不穏な事態を懸念し一部で非難の声があがっている。
(PIR, Jan 8 & 13, 2002)
 
内閣不信任決議が憲法論議に
 昨年から続く慢性的な経済不振は、ナウル銀行を破綻させ、公務員に4ヶ月の給料未払いの状態を生じ、さらには国内に食料・燃料・水不足を引き起こしている。この結果、ハリス政権は銀行口座からの引き出し金額に上限をもうけ、さらには難民の受入期間を延長することでオーストラリアから援助金を引き出す政策をとったことに対し、国内で反発の声があがっている。こうした状況を生み出したのはハリス政権の運営ミス・汚職・不適格性に責任があるとして1月7日、野党のアデアング(Adeang)議員は大統領不信任決議案を議会に提出した。不信任決議の成立を阻止すべくハリス大統領他彼の支持者たちは議会をボイコットする戦術にでた。この結果、総議員定数18名中11名の出席で行われた不信任投票は賛成8、反対3票で可決され、新大統領にはバーナード・ドウィヨゴ(Bernard Dowiyogo)前大統領の就任が決まった。
 しかしながら、不信任決議の成立には、全議員数18名の過半数の承認が憲法で規定されている。すなわち、憲法の定める要件である9票に1票欠けた同決議の採択は、無効であるとしてハリス大統領は最高裁に提訴した。最高裁のコネル(Connell)主席判事は即座にドウィヨゴ氏に大統領職務権限の履行に対する一時中断を宣告した。そして、判事は1月17日に確定した判決の中で、8名の賛成で成立した不信任決議は憲法上の要件を満たしておらず、無効であるとの判決を下した。この結果、ハリス大統領が再び大統領の地位に返り咲いた。
 この決議にもかかわらず、ハリス大統領は翌18日に辞職を表明し、後任選挙に立ったドウィヨゴ前大統領と同じく大統領在職経験のあるクロドゥマー(Clodumar)氏の決戦となった。その結果は同数であったため、議長の投票によってドウィヨゴ氏が大統領に再任された。しかし、1月21日同議長が辞任したため、ドウィヨゴ大統領は議会内で過半数の支持を得られない状況になっている。また、2月3日現在、新議長を選任できないことから議会は一時閉鎖されてしまっている。このため議員たちの中からは、議会を解散し総選挙を経て国民の審議を仰ぐ要求がなされ始めており、今後の動向が注目される。なお、正式な次回の選挙の実施は、4月12日に予定されている。
(PIR, Jan 8 to Feb 3, 2003)

◆グアム

 
2002年12月の台風の被害、推定7300万ドル
 2002年12月8日にグアムに上陸した大型の台風ポングソナ(Pongsona)は、グアムの水道、電力、通信、交通、住宅、その他住民の生活に関わるすべてのものに深刻な被害を与えた。1月3日付現地パシフィック・デイリー・ニュース紙によれば、その被害総額は推定7300万ドルを超えるという。この甚大な被害に対して米国連邦緊急事態管理局(Emergency Management Agency)は1月21日、グアムの住民の生活と事業の復興支援に1億900万ドルの災害援助を行なうことを決定した。
(PIR, Jan 22, 2002)
 
台風、観光業にも直撃
 昨年12月の大型台風は、グアムの観光業にも深刻な影響を与えている。すなわち、グアムへの観光客の大部分を占める日本人観光客のキャンセルが相次ぎ、12月だけでも日本人観光客数は例年の半数に激減した。この結果、グアム観光局の報告によれば、グアムの観光収入は12月だけで推定2700万ドルの損失をこうむったとみられている。2003年を迎え、観光施設は徐々に復旧しているものの、依然としてグアム旅行をキャンセルしたり見合わせる日本人観光客は多く、観光局は1月から3月の間に総計3万4千人以上の潜在的日本人観光客がグアムを訪問しないと予想している。観光局の統計によれば、日本人観光客は一滞在当りおよそ600ドルを使うため、本年3月までにさらに推定2000万ドルの損失が見込まれている。この先アメリカがイラク攻撃を開始すれば、グアム旅行を見合わせる日本人がさらに減少し、観光収入の激減が予想される。グアムの観光業は今日、まさに正念場にあるといえる。
(PIR, Jan 24, 2002)
 
ジョンストン島
 
米国環境保護局、放射性廃棄物保管の環境アセスメントに懸念
 ホノルルスターブルティン社の報道によれば、米国環境保護局が本年6月に発表される予定の放射性廃棄物保管をめぐる国防総省の環境影響評価に強い懸念を表明していることが明らかになった。問題の保管場は、1950年代から60年代にかけて同島で実施された核実験で失敗に終わった2つの実験で発生した放射性廃棄物を一時的に保管している場所である。この保管場に対し、国防総省は放射性廃棄物による環境への影響が低いとして残存させることを表明した。ジョンストン島は鳥獣保護地区として、来年より環境保護局へ監督権が移転されることになっている。しかしながら、環境保護局はこの査定に強い疑念を示しており、5500万ドルのコストをかけて本土の貯蔵施設に移送することを求めている。
(Honolulu Star-bulletin.com, Jan 28, 2003)
 
北マリアナ諸島                        

ババウタ知事、年頭に改革宣言
 
ババウタ知事は政府の財政難を軽減するために、政府運営費を20%削減すると述べ、政府の規模縮小のため人員削減計画を発表した。この行政プランには公共電力サービス、健康保健プログラム、自動車公共安全局の民営化が含まれ、すでに議会提出法案が起草されている。    
 (PIR,2003.1.2)

ホテル経営者、シン・タックスに反対
 
北マリアナ諸島のホテル協会(HANMI)は議会にPublic Low13-18「シン・タックス」の改正を求めている。昨年12月13日に発効したこの法律は、タバコとアルコールの輸入に250%の物品税をかける他、50人以上収容のレストランやホテルの飲食施設は、特別に作られた一部の喫煙場所を除き、喫煙禁止を定めている。ロナルド・サブラン(Ronald Sablan)HANMI会長は、旅行者の多くが喫煙者であり、この法律は実際的でないばかりか、観光産業に悪影響を与えると抗議している。
                           (PIR,2003.1.8)

外国投資落ち込む
 商務省の最新のデータによると、2002年の新規外国人投資家は12人に留まり、好調期の1995年の173人と比べると93%ものダウンであった。ここ数年、外国投資は不調で、1998年は4件、1999年は6件、2000年は5件、2001年は8件であり、ガブリエル・B・ババウタ経済開発局長は、不調は1997年に発効したpublic-law10-44の悪影響で、「外国人投資家の意欲をくじくものとなっている」と述べている。この条項は、投資の条件として10万ドルの保証金を現金で預けることを定めている(2000年に「現金か証券」の自由選択に改正)。2002年の数字で、商務省に再びこの条項の廃止要求が高まると思われる。一方、ジュアン・N・ババウタ知事は、「この条項が賛否両論であることを重視している。」「この条項の意図は、信用のおけない外国人を排除することである。」と述べた。
 (PIR,2003.1.27)

下院、安全保障関連法案可決
 7日、下院は、米国の国家防衛・安全保障における北マリアナの積極的貢献を支持する決議を採択した。下院決議13−105、Public Law 13-32の制定、北マリアナ諸島国家防衛法によると、明らかに、北マリアナは、「テロリズムに対する戦いで連邦政府を支援するため任務の増加を望んでいる」ことを示しており、現在多くの地元住民がサイパンの予備部隊に参加している。
  (PIR,2003.2.11)

中国人労働者、賃金未払いで訴訟
 中国人労働者7人が、NET Corp.の衣料縫製工場を賃金未払いで訴えている。NET Corp.は先週も13人の中国人労働者に同様の訴えを起こされたばかりである。
  (PIR,2003.2.11)

サイパン銀行再建へ
 13日、高裁はサイパン銀行の再建計画を承認した。これにより、30日以内に銀行再開の運びとなる。管財人は、アントニオ.S.ムナ氏。
                                                               
 (PIR.2003.2.17)

1月、観光客数過去5年間で最高
 マリアナ観光局(MVA)によると、1月の観光客数は53,625人で昨年比38%の増加。1997年以来の月間最高記録となった。観光客数はここ5ヶ月連続して躍進を続けている。
 日本、韓国、グアム、中国が増加。その中でも中国人観光客数はめざましい伸びとなっている一方、米国、台湾、香港は伸び悩んでいる。
 日本人旅行者数は40,404人。1996年以来で最高となっており、昨年比で46%増を記録している。MVAは好調の要因として、
・グアムの台風被害で、観光客が北マリアナに行き先を変更したこと
MVAによる日本向けマーケティングの成功
・1月7日からのコンチネンタル・エアラインの東京−サイパン間の直行便再開
を挙げている。
                                                              
 (PIR.2003.2.17)

3月、日本人観光客減少
 マリアナ観光局(MVA)によると、3月の観光客数は38,817人で前年比で8.7%の減少となった。MVAは、この減少はイラク戦争の開始と日本の経済不振による日本人観光客の減少が要因であると述べている。
                                                              
 (PIR.2003.4.3)

サイパンの水供給、質・量ともに問題
 コモンウェルス公共事業公社(CUCCommonwealth Utilities Corp.)は、研究機関(ウィンザー アンド ケリー社)に、給水システムについての研究調査を依頼していたが、その結果、質・量共に問題があることが報告された。
 研究によると、CUCによって供給されている水の70%は世界保健機構(WHO)の基準に達しておらず、環境保護機関の基準にも85%は適合していなかった。
 また、サイパンの1日あたりの水需要は、1400万ガロンであるが、CUCが供給できるのは、1100万ガロンで、現在でも総給水量が不足している。
 報告書は2022年までに、島の人口はほぼ2倍になる見通しで、現在のままではCUCには充分な水の供給能力はないとしている。
 CUCはこの結果を受けて、少なくとも9400万ガロン供給できる施設が必要であり、改善策を検討するため、2日ベナベンテ副知事に面会した。
(PIR.2003.4.3)

◆パラオ


パラオWTO加盟を希望
 パラオのカレブ・オットー(Caleb Otto)公共保健局長は「WTO加盟は重要である。WTO加盟国が従う食糧安全基準(Codex Standard)やガイドラインを受け入れなければ、他国はパラオと貿易をしないだろう」と述べ、政府の積極的な取り組みを要請した。
(PIR,2002.12.26)
 
カヤンゲル州埠頭完成間近
 セオ・イサム(Theo Isamu)海洋資源局長によると、日本の漁業基金による300万ドルの埠頭・漁業施設がこの3月に完成の見通しである。この埠頭により、カヤンゲルへのアクセスが容易になり、州の経済発展が期待される。
(PIR,2003.1.9)
 
ガルドマウ(Ngardmau)前州知事の有罪判決に温情?
 ガルドマウ州のマサオ・エセベイ(Masao Esebei)知事は有罪判決を受けたアルベルト・ギルメクル(Albert Ngirmekur)前知事の寛大な処分を判事に求めている。
前知事は州議会から告発され、16件の不正行為、14件の偽造、9件の詐欺、7件の窃盗、5件の使い込みで有罪判決を受けており、最高10年の禁固刑もしくは1万ドルの罰金、もしくはその両方の刑罰を科される可能性がある。エセベイ知事は、前知事には州政府から不当に得た財産の返還させるべきだが、禁固刑は前知事の家族と子供に悪影響を与え、コミュニティ全体の問題となると言う理由で、できれば執行猶予にすべきだと述べている。
(PIR,2003.1.22)
 
2002年パラオ来訪者内訳
 移民局によると、昨年パラオ来訪者は58,955人で、このうち目的別で一番多いのが観光客で51,299人(国別で多い順に日本人24,326人、台湾人15,430人、米国人7,903人)。2番目に多いのは外国人労働者で3,172人(フィリピン人1,703人、中国人333人、米国人264人)だった。ビジネスのための来訪者は1,865人(米国人986人、日本人217人、フィリピン人113人)で、以下、宗教、教育関係者等だった。
(PIR,2003.1.23)

オリコング駐日大使赴任
サントス・オリコング(Santos Olikong)駐日パラオ大使は2月1日に赴任の予定。オリコング大使は「とても重要なポストである。日本はパラオの経済発展にきわめて重要な役目を担っており、日本がパラオを必要とするより、パラオは日本を必要としている。しかしパラオは日本に海洋資源や原料を供給し続けられるだろう。両国の関係は一層大きな強固なものになる可能性を持っている」と述べ、より一層の関係強化と援助を要請した。
(PIR,2003.1.15)
 
大酋長、暴行で訴えられる
 アイバドール・ユタカ・ギボンズ大酋長(High Chief)はパラオ公共土地協会(Palao Public Land Authority)のマッセウ・ジョンソン(Matthew Johnson)顧問弁護士への暴行の容疑で起訴された。告訴状によると、事件は昨年の6月7日、ジョンソン氏が公聴会に出席するため、コロール州のビルディングの待ち合わせ場所にいた際に、ギボンズ酋長はジョンソン氏の公聴会出席を思いとどまらせようとしたが、ジョンソン氏が断ったため、ギボンズ酋長は野球バットでジョンソン氏の頭部を少なくとも3回強打したというものである。
(PIR,2003.1.22)

外国人労働者の雇用制限を緩和
 商業・貿易省によると、スリランカ、インド、バングラデシュ人に対する賃金労働者雇用制限が緩和される。バングラデシュ人の雇用に一時停止措置が採られたのは1998年からで、スリランカ人とインド人の雇用は2001年の7月から禁止となっていた。オトイチ・ベセベス(Otoichi Besebes)大臣は「スリランカ人の雇用はすでに許可されている。インド人とバングラデシュ人は個々の事例ごとに処理する」と述べた。少数の不法者を理由としてその国民すべてを排除するのは差別であるという批判に対し、「雇用停止は差別ではなく、当時の問題を解決するためであった」と同大臣は反論した。
(PIR,2003.1.29)

2002
年の収入、7.7%の減少
 大蔵省によると、総収入税、総賃金税、総輸入税の主要3財源からなる昨年の政府の総収入は18048千ドルで、前年より150万ドル少なく、前年比で7.7%のダウンとなった。
・ 総輸入税は472万2千ドル。内シン・タックス(酒とタバコにかかる税金)は221万3千ドル。衣料、家具、車の輸入で250万5千ドル。サダング(Elbuchel Sadang)蔵相は、総輸入税の減少の原因として、9,11テロ以降の世界的な経済不振、シン・タックスの50%値下げによる減収、および建設工事数の減少、をあげた。
・ 総収入税は745万1千万ドル。前年比で8%の増加。
・ 総賃金税587万1千ドル。前年比で1%の減少。
(PIR,2003.2.6)
 
パラオ初の女性大使誕生
 フィリピン公使にアニタ・R・スタ(Anita R Suta)氏が就任。パラオ初の女性公使となる。
(PIR,2003.2.1)

不法職業斡旋機関について討議
 パラオでは違法な就職斡旋によるフィリピン人の被害が報告されており、その対策を討議するために、フィリピン議員が来島した。フィリピン議会では外国の人材派遣機関による違法な就職斡旋を規制する法案を提出中である。フィリピン議員はパラオに対し違法就職斡旋に対する制限条項・被害者の保護手段の検討を申し入れたのに対し、レメンゲソウ大統領は協力を約束した。
(PIR,2003.2.19)
 
観光産業の代表が集結
 2月21日―23日にパラオで太平洋アジア旅行協会(Pacific Asia Travel Association)ミクロネシア支部の会合が開かれる予定で、40人以上の観光産業の代表が集まる見通しである。会合ではマーケッティング、特別プロジェクト、教育、サイクロンなどの議題が討論される。
(PIR,2003.2.6)
 
大統領、議会を訴える
 レメンゲソウ大統領は2003年会計年度予算案の条項は首長の権限を侵害するものだと民事訴訟を起こし、行政部門と議会の間で争いが続いている。
・ 予算案は、行政部門を再編成するため大統領が発した行政命令を無視し、政府機関を排除した「純粋な行政機関」を企て、行政部門を編成する大統領の憲法的、法的権限を無視している。
・ 予算案のいくつかの章は外交に関する大統領の権限を制限し、大統領権限に干渉している。
・ 議会(OEK)は予算案に外国からの基金や開発援助の再計画をOEKの賛成のもとに決定する条項を加えている。
・ 倫理委員会や国営航空行政にあてる基金の再計画を禁止する条項がある。
大統領は以上のような異議を唱え、裁判所にこれらの条項の無効宣言を要求している。レメンゲソウ大統領は「今までの行政の歴史のなかで、行政府の編成・再編成権や充当金支出権といった大統領権限をOEKにより否定されたことはなかった」と述べている。
(PIR,2003.2.18)
 
道路修復調査で日本技術者来島
 今月中に日本のエンジニアチームがパラオの道路調査のため来島する。この調査は日本の資金供与による道路修復工事の第一段階である。調査チームはパラオ空港からマラカル(Malakal)への国道を調査する予定。この道路は30年前に作られたもので、交通渋滞の悪化や観光客増加のため改良工事が必要となっている。この供与にはコロールの交差点拡幅工事や信号、歩道、街灯の整備も含まれる予定である。
(PIR,2003.3.13)

政府、中国人労働者送還に協力
 パラオ政府は200人の中国人労働者の本国送還に全面的に協力することとなった。この中国人労働者らは、マラカルのオリエンタックス衣料工場で働いていたが、オリエンタックス社が営業を停止したために立ち往生状態になっていた。彼らは先月、会社に抗議し2ヶ月分の給与支払いを要求していた。衣料工場は売却され、台湾人経営者はこの問題を放置したままパラオを離れている。ビリー・クアルテイ(Billy Kuartei)大統領補佐官は、政府は彼らの本国送還のため中国大使館と協力し、離島までの住居や生活必需品を提供し、未払いの賃金も支払うと述べている。
(PIR,2003.3.12/4.3)
 
観光国リーダー、コロールで会議
 3月7日、コロールで観光産業推進サミットが開かれ、パラオ、グアム、ヤップ、北マリアナのリーダーが観光産業国共通の諸問題(リサイクル問題など)について話し合った。ホスト役のレメンゲソウ大統領のほかに今回出席したのはフェリックス・カマチョ(Felix Camacho)グアム知事、ジュアン・ババウタ(Juan Babauta)北マリアナ知事、ロバート・ルエチョ(Robert Ruecho)ヤップ知事。将来、より多くの国の参加と協力により、共通の問題の解決を目指す。
(PIR,2003.3.7)
 
特別選挙、マルソルが勝利
 さきの選挙で上院議員として選出されたエリアス・カムセク・チン(Elis Camsek Chin)が被選挙権の条件を欠いていたため、4月2日の上院の特別選挙でルシアス・マルソル(Lucius Malsol)が選ばれた。マルソルは1494票を獲得、二位は候補者として記載されていないにも関わらず、1341票でチン氏であった。
 またアイメリク(Aimeliik)の特別下院選挙ではカリストウス・ギルトロン(Kalistus Ngirturong)223票で勝利をおさめた。
(PIR,2003.4.9)
 
ミクロネシア連邦
 
アジア開発銀行基金、会計プログラムを支援
 アジア開発銀行(ADB)は、ミクロネシア連邦の合理的な財政運営の開発を支援するために36万ドルの技術援助基金を承認した。連邦政府財務省と州政府財務局に導入される新しい財政運営情報システムの実行に要するトレーナーと訓練の資金提供を行う。開発銀行は、FSMでは会計士が不足しているが、この訓練で正式な会計士資格プログラムを完成できる人材を育てることができ、外国人会計士への依存を減らせると述べた。
(PIR,2003.1.8)
 
外相、コンパクト再交渉問題でパラオに協力要請
 FSMは現在、米国と新コンパクトの交渉中であるが、米国側は安全保障上の理由からFSM国民に自由な米国入国を許す現在の条項を修正し、入国を制限しようとしている。さらに、この条項に関しては米国は議論の余地がないと述べ、交渉はもっぱら財政援助パッケージに限られている。そのためFSM外相は、サンドラ・ピエラントッチ(Sandra Pierantozzi)パラオ副大統領に、条項修正反対について協力を求めた。ピエラントッチ副大統領は、「パラオ自身のコンパクト交渉はまだ先のことだが、FSMの交渉結果は当然パラオに影響する問題である」と述べた。
(PIR,2003.1.23)
 
マグロ委員会本部、立ち上げに向けて進行
 FSMでは、昨年11月のマニラ会議でポンペイがマグロ委員会(Tuna Commission)の本部誘致に成功したことをうけ、アキリノ・スサイア(Akillino Susaia)輸送・商業・インフラ相率いる本部設立プロジェクトチームが作られた。
 一方、本部地はまだ正式決定ではないという意見もある。南太平洋大学のサンドラ・タルテ(Sandra Tarte)博士は、「マニラ会議での決定は推薦であり、正式決定は協定の制定まで凍結され、いくつかの国はポンペイが本部地の基準に合っていると信じないだろう」と述べている。これに対し、マーシャル諸島海洋資源協会ダニー・ワセ(Danny Wase)会長は「いったん投票が行われた限り、決定に不服はない。これは全員の合意だ」と述べている。
(PIR,2003.2.10/24)
 
国会議員選挙結果
 3月4日、ミクロネシア連邦第13議会議員選挙が行われた。争われたのは2年任期議員(two-year)10議席と各州1議席ずつの4年任期議員(at-large)4議席。開票結果は以下の通り。初当選は5人だった。
 
チューク州
At-large レドリー・キリオン(Redly Killion
Two-year
District1:ヘンリー・アスガー (Henry Asugar)
District2:ローゼヴェルト・カンソウ(Roosevert Kansou)
District3:サビノ・S・アソ−(Sabino S. Asor
District4:チウィター・アリトス(Tiwiter Aritos
District5:モーゼス・ネルソン(Moses Nelson
コスラエ州
At-large:アリク・L・アリク(Alik L.Alik
Two-year:クラウデ・H・フィリップ(Claude H.Phillip
 
ポンペイ州
At-large:レシオ・S・モーゼス(Resio S.Moses
District1:ドーシス・S・ハルベルト(Dohsis S.Halbert
District2:ディオン・G・ネス(Dion G.Neth
District3:ペーター・M・クリスティアン(Peter M.Christian
 
ヤップ州
At-large:ジョセフ・J・ウルセマル(Joseph J.Urusemal
Two-year:イサック・フィギー(Isaac Figir
 
ファルカム大統領、敗れる
 ファルカム大統領は今回の選挙で、ポンペイ州Atlarge議席を争い、長年の宿敵レシオ・モーゼスに敗れた。ファルカム氏は1983年にポンペイ州知事選でモ−ゼス氏に敗れたが、1994年の議員選挙ではモーゼス氏に勝ち、その後大統領の地位まで上り詰めた。
モーゼス氏は議会により新大統領に選出されたため、空席となったポンペイAt-large議席は6月の特別選挙で選出される。
(PIR,2003.3.7)

マーシャル諸島

政府、ギャンブル時間制限措置緩和
 政府はポーカー店の営業時間制限を取り消し、24時間営業を復活させた。しかし、店舗にセキュリティ設備をそなえることを24時間営業の許可条件とした。
(PIR,2002.12.5)
 
コプラ産業の状況
 米国統計局の最近の研究によると、マーシャル諸島のコプラ生産とコプラ加工業に従事する女性の数は、1960年代後半と比べ10倍以上に増加している。そのため全体として、ココナッツオイルの市場価格が低迷し、都市部へ島民が流出しているにもかかわらず、コプラ生産者数は減少していない。
1967年に1,644人であった生産者は1999年には1,700人となり、この数字は非政府関係就労者の四分の一を占め、マーシャル諸島で最大の職種となっている。離島の収入源はコプラ生産以外にほとんどなく、手工業品、塩、魚の燻製の生産がわずかに行われている。都市部では、政府関連企業の仕事に従事しやすく、クワジェリンミサイル基地では約1,300人の島民が働いており、コプラ生産者は2人となっている。ココナッツ加工工場があり、1967年にはコプラ生産・加工業者が二番めに多かったマジュロは、1999年には、その数は60%激減し、他ビジネスへの転職者が目だっている。
(PIR,2002.12.24)
地元企業苦戦の見通し
地元のビジネスリーダーである、ロバート・レイマーズ氏は、近年のアジア資本企業の増加、資本の流出や停滞状態の経済により、一年以内にマーシャル諸島の複数の大手商店が廃業に追い込まれるだろうと述べた。
マーシャル人企業の経営悪化は前政府のアジアへのパスポート販売政策の影響を被っている。1990年代に約2,000のパスポートが中国、香港、台湾へ販売され、1990年代後半から急増した帰化移民がビジネスを始めた。それに伴い観光ビザしか持たない不法滞在者が急増。2002年、ようやく政府はこれらの不法滞在者の追放手続きをはじめた。レイマーズ氏は、マーシャル諸島経済に打撃を与えているのはグローバリゼーションで、この新しいビジネス環境に地元企業も政府も適応できておらず、地元企業が競争に生き残るためには、政府の積極的対策が不可欠だと語った。その他に、次の問題点が指摘された。
・ アジア系企業は税を逃れる不法な輸入により、不当に安価な価格を製品につけていること。
・ 米国ドルの流出。
・ 多くのマーシャル人が米国に移民しているため、彼らが受けるクワジェリン基地補償金が国内経済で循環しないこと。
PIR,2003.1.7

不法滞在者検査官を増員
 移民局は多数の不法滞在者対策として検査官を倍増し、空港や港に加えビジネスや建設現場などにもチェックポイントを設け検査機能を強化した。移民局はまた、偽りの口実を設けアジア人をマーシャル諸島内へ連れ込む「スポンサー」も取締りのターゲットにするつもりだと述べた。
 従来の手ぬるい移民規則に代わる新たな規則が数ヶ月前に起草されている。その中には来島者には往復航空運賃以上の保証金事前預け入れなどもある。すでに移民局により新しい入国資格として、アジア人来島者のビザの事前申請が義務付けられている。
(PIR,2003.1.17)
 
コプラ生産量50%減少
 昨年のコプラ生産高は1951年に統計が始まって以来の最悪の記録となった。2002年にトボラー(Tobor)のコプラ処理工場に運ばれたコプラは2,652トンで、これは2001年の5,275トンの50%減である。減少の原因は、世界市場でのコプラ油価格の値下がりにより、コプラ油生産が休止となったためで、7ヶ月間にわたり工場へのコプラ搬入が制限された。さらに処理中断の間貯蔵されていたコプラは乾燥やネズミによる被害で質が劣化していたため、工場側がコプラ購入に厳しい基準を設けたことも原因の一つに挙げられる。
(PIR,2003.1.20)
 
クワジェリン使用延長協定に仮調印
 金曜日におこなわれたホノルルでの話し合いの後、アルベルト・ショート米国交渉官とマーシャル諸島のジェラルド・ザッキオス外相は、1年近く交渉が続いていたクワジェリンミサイル基地の使用延長協定に仮調印した。この新協定は、米国に2066年までのクワジェリンの軍事使用、更に20年の追加延長の選択権を与え、その代償にマーシャル諸島に土地使用料、コミュニティ開発援助、環境保護援助としてすくなくとも11億ドルを供与するものである。レンタル料はこれまでの年113万ドルから年150万ドルへ値上げされ(2014年からは180万ドル)、インフレによる変動も考慮される。現在の制度ではレンタル料は70人の伝統的リーダーに渡されるので、協定はレンタル料の「広く公平な分配」のための新制度を要求している。また責任の確保のため、クワジェリン環礁開発協会からマーシャル政府に基金使用の権限が戻される。
今後、両政府と土地所有者の正式な承認が必要であるが、土地所有者はこの取り決めに反対である。彼らは反対の理由として、仮調印は土地所有者の参加なしにおこなわれたこと、レンタル料は190万ドルが最低ラインであること、クワジェリンの使用は伝統的土地所有制度のもと土地所有者に支配権があり、新協定は土地所有者の要求を満たしていないこと、などを理由にあげている。
(PIR,2003.1.13/20/24)

(追記) クワジェリン基地使用延長協定を含む新コンパクトは、
4月末に調印の見通し。米国は20年間で8億ドルの基金供与とクワジェリン基地使用料として23億ドルの計30億ドルを供与することで合意の見通し。また基地使用料問題と共に、新コンパクト交渉の焦点の一つであった移民条項(マーシャル諸島国民はビザなしで期間制限なしに入国や居住が許される。米国側は厳格化を主張していた)は現状のまま維持されるもようである。
(PIR,2003.4.11)
 
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