PACIFIC WAY

太平洋諸島情報(2001年6月〜9月)      




地域
 
豪州政府のイリアンジャヤ独立問題への対応
 豪州政府は、今年ナウルで開催されるPIF総会においてイリアンジャヤの独立問題について議論しないよう求めた。豪州政府は、以前、イリアンジャヤの独立を支持していた。豪州のハワード首相はアチェやイリアンジャヤにおける分離独立運動の盛り上がりに対して、インドネシアの領土的統一性を支持した。
  (PIR,2001.8.14)
 
◆パプア・ニューギニア
 
日本政府、橋建設のための援助を提供
 日本政府はハイランド地域における橋建設のために7,392,000米ドルの提供を認めた。プンダリ外務大臣は、近年における日本援助は橋だけでなく、構造調整プログラムのためのソフトローン、教育メディアセンター建設、女性や子供の健康事業、マラリア研究事業など広範囲に及んでおり、我が国と日本との関係強化に役立っていると述べた。
          (PIR,2001.7.12)
 
野党勢力、世界銀行に関する調査を要求
 世界銀行はパプア・ニューギニアに対して、国営企業の民営化等の経済改革を条件として融資を行っている。しかし、野党勢力は、世界銀行による民営化は同国にはふさわしくなく、地方における公共サービスが減らされていると主張している。また、野党勢力は、世界銀行が同国において実施している開発方法や同国政府に対する影響度等に関して調査を実施する委員会を設置するよう求めている。
          (PIR,2001.7.30)
 
日本人観光客の増加
 今後7週間中に、関西空港からニューギニ航空に乗って600人以上の日本人観光客がパプア・ニューギニアを訪問する予定である。昨日もポートモレスビーに180人の日本人観光客が到着し、日本人観光客の増加が目立っている。
          (PIR,2001.8.16)
 
◆ソロモン諸島
 
製造業者、メラネシア・スペアヘッド・グループ合意へ懸念を表明
 ソロモン諸島の製造業者は、パプア・ニューギニアやフィジーで製造された軽工業製品がソロモン諸島に輸入されることで、同国の製造業者が倒産するであろうと懼れている。他のメラネシア・スペアヘッド・グループのように輸入原材料・部品に対する優遇措置をソロモン諸島の製造業者は与えられていない。他のメラネシア・スペアヘッド・グループからの輸入が増えれば、ソロモン諸島内の製造業者が倒産するだけでなく、同国に投資をしようとする外国資本も減少するとみられている。
               (PIR,2001.6.14)
 
◆ニューカレドニア
 
タヒチヌイ航空、カレドニア航空が日本への航空路線の増設を要求
 タヒチのタヒチヌイ航空とニューカレドニアのカレドニア国際航空は、日本への航空路線の増設を求めている。タヒチヌイ航空は現在週一回大阪に就航しているが、それに加えて週3回東京に就航したいと希望している。
      (PIR,2001.8.3)
 
ニューカレドニアに米軍艦フレドリックが寄港
 フレドリックは350人の兵隊、22両の戦車、7隻の水陸両用車、148台のトラックを積載している。ハワイ・パールハーバーを母港としているフレドリックは、これまで4ヶ月間にグアム、フィリピン、タイ、韓国、日本、パラオ、ミクロネシア、豪州のケアンズとブリスベーンに寄港してきた。フランス領に寄港する米艦船は、フランス海軍と共同訓練を実施してきた。フレドリックは1970年代初頭にベトナムから戦争難民を運び出し、最近では湾岸戦争に参加した。
            (PIR,2001.8.15)
 
◆フィジー諸島
 
フィジー経済、ゆるやかな回復傾向
中央準備銀行の最新の報告によると、太平洋地域の経済はゆっくり回復に向かっており、フィジーの観光業、精糖業、衣料縫製業もクーデター前のレベルを取り戻しつつある。報告書は、衣料縫製業はこれから南半球のサマーシーズンに向けて海外からの注文の増加が見込まれ、さらに景気回復はすすむと予測、フィジー経済の安定性は損なわれていないと指摘している。物価上昇率も4.3%から3.5%に減少している。
(PIR,2001.8.27)
 
フィジー総選挙、SDLが勝利
 8月25日から、昨年5月の議会占拠事件後の政治混乱の民主的収拾を目指す総選挙の投票が行われた(9月1日まで)。この選挙は、事件で政権を追われたインド系のチョードリー前首相率いるフィジー労働党(FLP)が前回の総選挙(1999年)に引き続き勝利を収めるか、それとも暫定文民政権のガラセ首相のSDLなど先住民系の政党が政権を奪回するのかが焦点であり、18の政党、351人の候補者が選挙運動を展開した。選挙管理委員会によると、83%以上の有権者が投票したが、99年の投票率を下回った模様。
 9月3日から行われた開票の結果、現職のガラセ選挙管理内閣首相率いる先住民系フィジー連合党(SDL)が第1党となり、労働党は27議席で第2党にとどまった。スヴァで行われたラツー・ジョセファ・イロイロ大統領主催の式典でライセニア・ガラセは新大統領就任を宣言した。71議席中31議席を獲得したSDLは、同党を中心としたフィジー系の連立内閣を組織したが、憲法99条の複数政党内閣規定に違反する組閣であるとして、労働党は訴訟を提起する構えである。ちなみに憲法の規定では、組閣にあたっては下院の10%以上(8議席以上)の議席を占める政党に対しては、その議席の割合に応じた数の入閣を要請しなければならないと定められている。
(PIR,2001.8/24.28.9/4.6.10)
 
◆トンガ
 
トンガ王子、通信事業を立ち上げ
 トゥポウトア王子は通信会社の社長でもあるが、新しい光ファーバー、無線通信事業のために1500万米ドル規模の事業に調印した。同事業はトンガ人が経営する会社による最大規模の投資であり、最新式の通信システムがトンガに設置されることになる。この通信システムにより首都ヌクアロファの全ての住民は無線通信を利用でき、首都のビジネス地域は光ファーバーを利用できる態勢となる。トンガの人口は97,500人であり、首都には21,500人が住んでいる。多くの島々に住民が分散しており、また通信設備も十分でないのが現状である。現在、首都では5千人以上の人々が電話線の設置を待っている。
            (PIR,2001.6.26)
 
◆サモア
 
アピア港改修のため、日本政府が援助を提供
 日本政府はサモアのアピア港改修のために総額18,836,000ドルの援助金を提供した。日本政府代表は、サモアの輸出入はアピア港に大きく依存しており、港のインフラを必要とされる標準まで整備することは重要であり、サモア経済の発展にとってアピア港改修は最も重要案件の一つであると述べた。
 
        (PIR,2001.6.5)
 
◆アメリカンサモア
 
反奴隷法の施行問題
 米領サモアは移民労働者を保護するために奴隷的取り扱いを禁じる法律を施行するように迫られている。憲法により奴隷労働は禁じられているが、法律によって奴隷労働の規定やそれに対する処罰が明確でない。最近、閉鎖された衣料製造工場ではアジア人が強制労働により苦しんでいたが、同じような状況にサモアやフィリピンからの移民労働者が現在、直面している。移民労働者がほとんど賃金を得ることなく、米領サモア人の経営者の意のままに働かされているケースがみられる。
(PIR,2001.7.28)
 
◆ニウエ/クック諸島
 
ニュージーランドとの関係100周年
 1901年にクック諸島とニウエがニュージーランドと行政的関係をもった。現在、クック諸島とニウエは、ニュージーランドと自由連合関係を結び、自治権を有しており、両国民はニュージーランドの市民権をもち、ニュージーランドから数百万ドルの援助金が投下されてきた。ニウエは、ニュージーランドからの援助に経済的に依存しているが、クック諸島は観光業、農業の発展で財政的に自立している。
              (PIR,2001.6.11)
 
◆仏領ポリネシア
 
デング熱が流行
  今年1月から仏領ポリネシアにおいてデング熱が流行し、現在まで9900人が感染し1人が死亡した。
          (PIR,2001.6.5)
 
フロス大統領、さらなる自治を要求
 フロス大統領は、フランス本国が通貨、裁判、法律、軍隊、秩序等に関する権限を有する一方で、仏領ポリネシアはさらに拡大された自治権を獲得したいと述べた。また、フロス大統領は、フランスが我々に自治権を行使させる限りにおいて、我々はフランス領に留まる用意があるとも語った。
              (PIR,2001.6.15)
 
パペーテの港にアジア漁民が集結
 太平洋で操業していた韓国、日本の漁船から魚を積み込むために、日本の大規模貨物船3隻がパペーテの港に到着した。殆どの荷物は冷凍マグロであり、アジア各国で販売される。仏領ポリネシアは、漁業の振興を図っている。現在、58隻の漁船があるが、さらに56隻の船舶が建造中であり、2007年までにはさらに100隻の漁船が作られる予定である。
          (PIR,2001.8.17)
 
◆ウォリス・フツナ
 
仏領40周年記念式典を開催
 仏領40周年記念式典がウォリス・フツナの首都マツウツで開催された。最初にキリスト教のミサに始まり、フランス国旗掲揚、伝統的な祭が繰り広げられた。ニューカレドニアでも約2万人のウォリス・フツナ人によって一週間にわたり記念行事が行われた。約1100人が参加し、ダンス、バスケット編み、各種競技が行われ、最後にカバの儀礼で締めくくられた。ヌーメアに拠点をおくウォリス青年協会の関係者は、この記念式典により若いウォリス人が自らの文化や伝統を発見する機会が与えられたと述べた。
             (PIR,2001.7.31)
 
◆グアム/北マリアナ諸島

海兵隊訓練のための調査を実施
 米軍がグアム、サイパン、テニアン島において沖縄から海兵隊の訓練を移転するために10人の海兵隊がフィールド調査を実施した。調査隊は都市戦闘訓練に関して適当な場
所をこれらの島の中に発見した。しかし、重火器を利用した訓練地域が存在しないことに対する懸念が持ち上がっている。ペンタゴンは、島の小ささが最大の問題であると考えている。
 今年2月に北マリアナ諸島選出米下院のババウタ代表は、ラムズフェルド国防長官に対し、沖縄の米軍基地の代替地としてテニアン島を利用するように要請したが、2万5千人の兵士が訓練するには狭く、移転計画は現在停止されている。
 ババウタ代表は、テニアン島はアジア太平洋地域における米軍訓練の拠点、特に通信や情報収集活動の場所として利用価値があるだろうと述べた。
 またファラロン・デ・メンデニラ島は米国軍に賃貸されており、空軍、海軍の爆撃訓練場として利用されている。
          (PIR,2001.7.6)
                                 
◆パラオ
 
スリランカ人とインド人の入国を禁止
 パラオ政府は、地元民との緊張激化を理由として、スリランカ人とインド人の入国を禁止した。最も大きな緊張の原因は宗教で、ほとんどのパラオ人はカトリック教徒であるが、インドやスリランカから来島する人々の大半はイスラム教徒である。現在パラオに滞在しているインド人、スリランカ人の数は明確ではない。また、両民族間において深刻な暴力事件は報告されていない。
          (PIR,2001.8.13)
 
日本のロケット追跡基地が建設予定
 日本の宇宙開発事業団は、パラオにおいてロケット追跡基地を建設する予定である。同基地では、発射されたロケットを追跡し、関連情報を集めることを任務とする。
          (PIR,2001.8.17)
 
◆マーシャル諸島
 
日本のボランティアチームがラウラで清掃活動
 主としてNTT労組員で組織されたアジア・ボランティア・センター(AVC)のグループが5月21日にマジュロを訪れ、3日間に渡りラウラのビーチの清掃活動を行い、地元住民との交流を暖めた。AVCのメンバーはラウラの美観を損なっているゴミの山に驚き、今後さらに多くの日本人ボランティアが訪れるだろうと述べた。ゴミは主にプラスチック製品やビニールの袋、アルミニウム缶で、マジュロ西部の諸島に流れ着いたものである。マーシャル観光協会当局者は、観光客が増えるのは嬉しいが、はるばる海を越えてわれわれの島を掃除するために来てくれるのは悲しいことだと述べた。
(MIJ,2001.6.1)
 
ハワイ銀行、労働者人口GDP報告
ハワイ銀行によると、米国との自由連合協定の開始から2年たった1988年の政府関係労働者人口の割合は全労働者人口の50%であった。1992年には、私企業の増加によりこの割合は36.4%に減少し、1994年には47.2%と再び増加したが、その後政府の人員削減の結果1999年には22.6%(3,602人から1,513人)に急減した。同時期、私企業労働者も5,579人から5,168人に減少し、政府やコンパクト資金に私企業が依存していることを示している。
一人あたりの国内総生産額も増減しており、コンパクトの開始当初1,326ドルだったGDPが、1995年には1,676ドルに増加し、その後2000年までに1,194ドルに減少している。(これはコンパクト以前の1984年と同レベルである。)
(MIJ,2001.6.15)
 
 
台湾130万ドルを供与
 台湾大使は5日にアルビン・ジャック外相らに供与金約130万ドルの小切手を手渡した。この資金は、@トボラーのココナッツオイル精製とコプラ生産の運営基金(100万ドル)、Aマジュロの第2道路の舗装費用(15万1876ドル)、B議会と首都庁舎の修繕(10万4587ドル)Cマジュロの消防署計画(4万6067ドル)に使われる予定。
(MIJ,2001.7.6)
 
外相、外国人不法ビジネス調査を指示
 ジェラルド・ザッキオス外相は、最近の外国人の増加に対して、外国人による不法ビジネスと不法居住の調査・取り締まりを、労働・移民局に指示した。マーシャルでは観光ビザで入国しビジネスを始めるケースが急増している。 
(MIJ,2001.7.21)
 
日本政府、エジット(Ejit)のドック建設に7万5千ドル供与
 8月22日、林臨時日本大使により7万5千ドルの小切手が、エルドン・ノート市長(ビキニ・キリ)に手渡された。この援助金はマジュロのエジット島のドック建設に使われる。ビキニの人口の大部分はエジットに居住しており、この草の根無償によるドック建設でエジットとマジュロ間の食糧や旅客の輸送が改善されることになる。
(MIJ,2001.8.24)